月 子:じゃあ、普段よく飲む機会のある「スティル・ワイン」はどうやって造られるの?
八兵衛:・・・・?
シム博士:ワインを造るのは非常に簡単なのじゃ。
ブドウに含まれる糖分を付着している酵母で、アルコールと炭酸ガスに分解すればワインの出来上がりなのじゃ。
月 子:それだけ?
シム博士:そうじゃ、ただ美味しいワインは出来んがの。ふぉふぉふぉ。
月 子:それじゃ、美味しいワインの作り方を教えて。
シム博士:そうじゃの、それでは一般的に行われている醸造の方法でもお教えしよう。
まず、一番大事なブドウを収穫した所からじゃが。
収穫してきたブドウを、破砕機にかけつぶし、果梗(かこう)を取り除く。
赤ワインの場合は、つぶした実をそのまま発酵層に入れ、発酵させる。
白ワインの場合は果汁に色や不必要な味や香りを付けないように一度圧搾機に掛け、果汁だけを発酵層に入れるのじゃ。
右の図を見てもらえば良くわかると思うんじゃが、赤のラインは赤ワインの醸造ルート。
青のラインは白ワインの醸造ルートじゃ。
ジュースを発酵層に入れると2~3日で泡が立ち発酵は最高潮に達するのじゃ、発酵の期間は、だいたい10~20日位じゃの、このあたりは作り手によってずいぶんと差があるのじゃ。
それから、発酵を終えたワインは、樽やタンクに移し替えられ熟成されるのじゃ。
そうそう、赤ワインの場合は、移し替える前に圧搾機に掛けて果汁だけに分離することを忘れてはいかんぞ。
月 子:熟成に樽とタンクを使うのはなぜ?
シム博士:樽で熟成するか、タンクで熟成するかは、どんなタイプのワインを造るかで使い分けるのじゃ。
月 子:ふ~ん。
シム博士:ワインによっては樽で熟成させたものをさらに瓶に詰めた後で熟成させるものがあるのじゃ。
月 子:瓶に詰めたら、味は変わらないんじゃないの?
シム博士:そこが、ワインの他のお酒には無い不思議な魔力なのじゃ。
瓶に詰めてから熟成させることによって、外部との交流がない条件下で様々な化学的変化が起こり、高い熟成香が生まれ、さらに味わいにも深みが出てくるのじゃ。
もっとも、すべてのワインが熟成によって美味しくなるとはかぎらんのじゃがの。
この項で説明したワインの醸造方法はあくまで一般的なものじゃ。
ワインの醸造方法は、ワインの造り手の数だけ存在すると言っても過言では無く、それが一つの個性につながるんじゃ。
月 子:美味しいワインを造るのはやっぱり難しいのね!
|